玉野市の司法書士:成年後見・相続・債務整理(借金問題)・登記・訴訟・法律相談のことなら、たまの・西田司法書士事務所まで

遺言の基礎

画像の説明
工事中

1.遺言について

 遺言とは、簡単に言うと遺言を作成した人(以下「本人」と言います。)の最後の意思表示です。これまで、本人が生涯を通じて築き上げてきた財産をどのように分配したいのか、残された人達にはどのようにしてほしいのか・・・等々、遺言内容は人によって異なり、千差万別です。

 世の中では遺言がないために、相続を巡り親族間で争いの起こることが少なくありません。現に、遺産分割の調停申立件数は年々増加傾向にあり、2011年度の新受件数は約1万2千件。調停に至らないものの、持ち込まれる問い合わせは17万件を超すという記事を目にしたことがあります。

 今まで仲の良かった者が相続を巡って骨肉の争いを起こすことほど、悲しいことはありません。遺言は、上記のような悲劇を防止するために、本人が自分が残す財産の帰属を決め、残された人達にどのようにしてほしいのか伝え、相続を巡る争いを防止する役割を果たすこともあります。(個別的なご相談はこちらから)

2.遺言できる事

 遺言でできる事と言うと「遺産の分配」を思い浮かべる方が大半かと思います。しかしながら、実は遺言でできる事はたくさんあります。各項目を簡単に説明します。

□ 相続に関する事項

  • 推定相続人の廃除と取消し(民法第893条・894条2項)
     一定の事由(本人を虐待など)がある推定相続人(遺留分を有する者に限る)を相続人から排除する手続ができます。家庭裁判所への申立てを必要としますが、遺言執行者が行います。
  • 相続分の指定又は指定の委託(同法902条)
     「すべての財産を妻に相続させる」など法定相続分以外の相続分を指定すること(指定を委託すること)ができます。
  • 特別受益の相続分に関する指定(同法903条3項)
     特別受益の持戻(生前贈与を受けた分等(特別受益)が相続財産として考慮されること)の免除をすることができます。
  • 遺産分割方法の指定又はその委託(同法908条前段)
     「甲不動産を換価して分配する」や「甲不動産をAに相続させる」など、具体的に財産の分配方法を指定すること(指定を委託すること)ができます。
  • 遺産分割の禁止(同法908条後段)
     相続開始から5年間、遺産分割を禁止することができます。
  • 共同相続人間の担保責任の定め(民法914条)
     取得した相続財産に欠陥(数量の不足、隠れた瑕疵、他人の権利など)があった場合の担保責任についてもどの相続人がどれだけ負担するか(免除も可能)を指定することができます。
  • 遺贈の減殺方法の定め(同法1034条但し書)
     遺留分の減殺方法(各遺贈に対する減殺の順番など)を指定することができます。

□ 財産の処分に関する事項

  • 包括遺贈及び特定遺贈(同法964条)
     相続人以外にも財産を与える事(遺産の割合で与える事(包括遺贈)も具体的な金額や不動産を与える事(特定遺贈)も可能)ができます。
  • 一般財団法人の設立(一般法人152条2項)
     財団法人を設立するために必要な寄付行為を行うことができます
  • 信託の設定(信託3条2項)
     信託を設定することができます。

□ 身分に関する事項

  • 認知(民法781条1項)
     婚姻関係にない男女間で生まれた子を自分の子とし、法的な親子関係を生じさせることができます。
  • 未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定(同法839条、848条)
     自分の死後、未成年者に親権者がいない等のときに、未成年者の後見人や後見監督人を指定する事ができます。

□ 遺言執行に関する事項

  • 遺言執行者の指定又はその委託(同法1006条1項)
     遺言に記載された内容を実現してくれる人物(遺言執行者)を指定する事(指定を委託する事)ができます。

□ その他

  • 祭祀承継者の指定(同法897条1項但し書)
     先祖の供養やお墓を守る人を指定することができます。
  • 生命保険金受取人の指定
     生命保険金の受取人の変更をすることができます。

3.遺言の方式

 遺言の方式は大きく「普通方式」と「特別方式」の二つに分類されます。「特別方式」には、危急時遺言(船舶遭難者や死亡の危機に迫った者)と隔絶地遺言(伝染病隔離者や在船者)がありますが極めてイレギュラーなケースの為、この遺言の基礎では扱いません。
 よって、ここでは、普通方式である「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類について説明したいと思います。

自筆証書遺言

自筆証書遺言の流れ

 自筆証書遺言は以下の流れに従って作成し、遺言の執行(遺言内容の実現)がされます。

(1)遺言者(以下「本人」といいます)が遺言内容を自書
 パソコンを用いて作成する事はできません。すべての文章が自筆であることが必要です。

(2)本人が日付を自書
 遺言を作成した日付を自書します。この際、「何月吉日」といった不明瞭な記載の場合、無効になります。

(3)本人が氏名を自書
 通常は、戸籍上の氏名を用いますが、本人の同一性が認識される限り、ペンネーム・芸名・通称でもかまいません。

(4)本人が遺言に押印
 認印でかまいません。

(5)封を閉じる
 遺言の封を閉じます。(自筆証書遺言の場合、封筒に入れる必要はありませんが、封筒の表に遺言書と記載する事によって発見がされやすくなりますし、生前に中身を見られる可能性も低くなるため、お勧めします)

(6)本人の死亡

(7)遺言の発見

(8)家庭裁判所の検認手続
 本人の死亡後遅滞なく、家庭裁判所に検認の申立をする必要があります。また、封印のある遺言は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもとで開封しなければなりません。申立を怠ったり、勝手に開封すると5万円以下の過料に処せられることがあります。

 なお、「検認」とは相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせ、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続であって、遺言の有効・無効を判断するものではありません。したがって、遺言の無効(遺言の要件を満たしていない。本人の意思で書かれたものではない等)を主張する場合には、別途訴訟手続をする必要があります。

(9)遺言の執行
 遺言の執行をするためには,遺言に検認済証明書(検認の手続をした家庭裁判所で発行)が付いていることが必要です。 

メリットとデメリット

メリット

  • 簡易である(いつでもどこでも思い立った時に作成できる)
  • 他の人に知られる事が無い
  • 費用がかからない

デメリット

  • 発見されない可能性がある
  • 偽造される可能性がある
  • 訂正方法が厳格
  • 形式が満たされていないと後に紛争になったり、無効になる可能性がある
  • 本人の死後、家庭裁判所の検認手続が必要
  • 本人がすべてを自筆しなければならない

公正証書遺言

公正証書遺言の流れ

 公正証書遺言は以下の流れで作成され、遺言の執行(遺言内容の実現)がされます。

(1)遺言の内容を考える
 通常は、文案を作成してそれをあらかじめ公証人に提出し、打合せをします。

(2)証人を2人探す
 公正証書遺言を作成するには証人が2人必要です。その為、証人になってくれる人を2人探します。なお、1.未成年者、2.推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族、3.公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用は証人になれません。

(3)遺言の内容を公証人に伝える
 原則として遺言者(以下「本人」といいます)と証人が公証役場に行く必要があります。しかし、公証役場にいけない事情(入院や移動が困難など)がある場合には、公証人に本人の指定するところに来てもらうことも可能です。

(4)公証人が遺言内容を書き、これを本人と証人に読み聞かせる(閲覧させる)
 遺言の内容確認をしてもらいます。この際、本人に遺言をする能力があるか(自分で書いた遺言の内容を理解しているか等)も判断されます。

(5)本人と証人とが、書いてある内容が正確であることを確認し、各自署名押印する。
 実印である必要はありません。また、特段の事情により署名ができない際は、不要です。

(6)公証人が署名押印する
 公証人が公正証書遺言の方式に従って作成されたものであることを確認し、署名押印します。

(7)本人の死亡

(8)遺言の発見

(9)遺言の執行
 家庭裁判所への検認手続は不要です。よってすぐに、遺言内容を実現できます。

必要書類(公証人役場)

 公証役場に行く際に下記の資料が必要となります。

  • 遺言者・証人・遺言執行者の本人確認資料(運転免許証など)
  • 遺言者の印鑑証明書・実印
  • 証人の住所、職業、氏名、生年月日を書いたメモ又は住民票
  • 証人の印鑑(認印可能)
  • 相続人に財産を渡す場合は、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本及び住民票
  • 相続人以外の者が財産をもらう場合はその人の住民票
  • 遺産の内容が土地、家屋である場合は、不動産の権利証又は登記簿謄本、固定資産税評価証明書
  • その他遺産の内容がわかるもの(預貯金通帳や有価証券のコピーなど)

メリットとデメリット

メリット

  • 公証人が関与する為、形式の不備で無効になる事は無い(安全で確実)
  • 本人が自筆する必要が無い(病気で文字が書けなくても利用できる)
  • 原本が公証役場に保存される為、遺言書を紛失したり、偽造される恐れが無い
  • 本人の死後、速やかに遺言内容を実現できる(検認手続きが不要)

デメリット

  • 公証人への手数料が必要
  • 公証役場へ行く必要がある(公証人に来てもらうことも可能)
  • 証人が2人必要
  • 証人が必要なため、遺言の内容を他人に知られる

秘密証書遺言

秘密証書遺言の流れ

 秘密証書遺言は以下の流れに従って作成され、遺言の執行(遺言内容の実現)がされます。
(1)遺言を作成する
 本文は自筆でなくてもかまいません(パソコン可能)が、署名は遺言者(以下「本人」という)が自筆でしなければなりません。なお、自筆証書遺言と異なり、日付は無くてもかまいません(後日、公証人が確認した日が確定日となるため)

(2)遺言に封をし、封印をする
 遺言に封をして中身が見れないようにします。封印は遺言に押印した印鑑と同一でなければなりません。印鑑が異なる場合は秘密証書遺言としては無効になります(自筆証書遺言の要件を満たしていれば、自筆証書遺言としては有効です)。

(3)証人を2人探す
 秘密証書遺言を作成するには証人が2人必要です。その為、証人になってくれる人を2人探します。なお、1.未成年者、2.推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族、3.公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用は証人になれません。

(4)本人が公証人と証人2人以上の前に遺言の入った封書を提出する
 原則として遺言者(以下「本人」といいます)と証人が公証役場に行く必要があります。しかし、公証役場にいけない事情(入院や移動が困難など)がある場合には、公証人に本人の指定するところに来てもらうことも可能です。

(5)本人がその遺言が自分のものであることと自らの住所と氏名を申述します

(6)公証人が、遺言を提出した日付および本人の申述を封紙に記載し、本人、証人と共にこれに署名し、押印をする(遺言内容の確認はしない)

(7)本人の死亡

(8)遺言の発見

(9)家庭裁判所の検認手続
 自筆証書遺言と同様に検認手続をとる必要があります。

(10)遺言の執行
 自筆証書遺言と同様に遺言の執行をするためには,遺言に検認済証明書が付いていることが必要です。 

必要書類(公証人役場)

 公証役場に行く際に下記の資料が必要となります。

  • 封印した遺言書
  • 遺言者の印鑑証明書・実印
  • 遺言者・証人・遺言執行者の本人確認資料(運転免許証など)
  • 証人の住所、職業、氏名、生年月日を書いたメモ又は住民票
  • 証人の印鑑(認印可能)

メリットとデメリット

メリット

  • 自筆で無くてよい(署名は必要)
  • 遺言の内容を秘密にできる
  • 「本人が残した」という点での争いは防げる(公証人が確認する為)

デメリット

  • 形式が満たされていないと後に紛争になったり、無効になる可能性がある(公証人は遺言内容を確認しない)
  • 証人が2人必要(公正証書遺言と異なり、証人は内容を確認しない)
  • 公証人への手数料が必要(公正証書よりは安い。原則金11,000円(出張は別))
  • 紛失する恐れがある(公証人が遺言を保管しない)
  • 本人の死後、検認手続が必要

4.遺言執行者

遺言執行者とは

 簡単にいえば、本人が作成した遺言内容を実現してくれる人です。遺言執行者は、次の3つの方法で選ばれます。

(1)遺言で遺言執行者を指定する
(2)遺言で第三者に遺言執行者の指定の委託をする
(3)利害関係人の請求により、家庭裁判所が選任する

 なお、遺言により遺言執行者に指定された人は、遺言執行者になることを拒むことが出来ます。しかしながら、相続人や利害関係人から相当期間を定めて遺言執行者に就任するか否かの催告がされたにもかかわらず、ほっておくと遺言執行者に就任したものとみなされます。

遺言執行者は何をするか

 遺言執行者は、遺産の管理のほか、遺言の実現に必要な行為の一切について行う権限が与えられます。また、相続人は遺言執行者の執行を妨げる一切の行為をすることができません。つまり、遺言執行者が選任されている場合には相続人が行った遺言執行者の執行を妨げる一切の行為(登記など)は無効となります。

 具体的な遺言執行者の権限については、基本的には遺言者が遺言のなかで定めることになります。
 したがって、遺言者が遺言執行者に特定の行為(不動産の売却と売却代金の配当など)についてだけ権限を与えたときは、そのほかの遺産については遺言執行者には権限がないことになります。

 もし、遺言者が遺言執行者を指定しなかったときには、相続人が遺言内容の執行をすることになります。したがって、遺言の内容で、その実現に相続人の協力があまり期待できない場合(例えば相続人以外の人物への贈与など)には遺言執行者を指定しておくのがよいかもしれません。

 なお、「認知」と「推定相続人の廃除(その取り消し)」については、遺言執行者が行なうこととされています(民法781条1項、戸籍法第64条、民法第893条・894条2項)。したがって遺言執行者の選任が必要です。万が一、遺言執行者の指定がされていなかったときには、遺言執行者の選任を家庭裁判所に申立てなければいけません。

 なお、遺言者は遺言で遺言執行者の報酬を定めることができます。もし、遺言に遺言執行者の報酬について定めてなかったときには、遺言執行者は、相続人との話し合いで決めるか、決まらないときには家庭裁判所に報酬を付与してもらうように申し立てを行います。

欠格事由・辞任・解任・任務

次のような人は遺言執行者になれません

  • 未成年者
  • 破産者

遺言執行者の具体的な任務

 遺言執行者は次のような任務を行います

  • 相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知を出す
  • 財産目録を調整して、それを相続人・受遺者に交付する
  • 遺言執行者のみができる行為[認知(市町村役場への届出)と相続人の廃除・取消の手続(差家庭裁判所への申立)]を行う
  • 遺言に従って、相続財産の管理、遺産の引渡し、登記手続、預金等の名義変更などを行う
  • 遺言執行に必要な行為が妨害されているときは、その排除をする
  • 相続人に対し、遺言執行事務の報告をする

遺言執行者の辞任・解任

 遺言執行者は正当な事由があるときに家庭裁判所の許可を得て辞任をすることが出来ます。
 また、利害関係人は、遺言執行者がその任務を怠った等正当な事由があるときは家庭裁判所に対して、その解任を請求できます

5.遺留分について

遺留分とは

 遺留分とは、簡単に言うと遺言者(以下「本人」という。)が遺言によっても自由に処分できない財産のことを言います。これは具体的な財産(○○にある不動産)ではなく、「遺産のうちの○分の○」といった割合(後述の遺留分権利者の割合)で決まります。
 これは、本人が遺言によって全財産を自由に処分できるとすると、本人が赤の他人に全財産を与えてしまった場合などに、それまで本人の財産に依存してきた身近な相続人(後述の遺留分権利者)が経済的な基盤を失うおそれも考えられるので、そのようなことを防ぐために配慮して定められたものです。

遺留分権利者とは

 遺留分はすべての相続人に認められるわけではありません。遺留分が認められる相続人は次のとおりです。

  • 配偶者
  • 第一順位の子
  • 第二順位の直系尊属
  • 相続欠格者及び排除者の直系卑属(代襲相続人として)

遺留分権利者の割合

本人の配偶者または子が相続人になる場合 → 相続財産(法定相続分)の2分の1

本人の直系尊属のみが相続人になる場合  → 相続財産(法定相続分)の3分の1

遺留分の算定方法

 遺留分の総額は次のように計算します。
 
遺留分の総額=
(①本人の死亡時の遺産+②本人が生前に贈与した財産-③債務の価格)×遺留分の割合
 
①の本人の死亡時の遺産には、遺言で遺贈や死因贈与の対象となった財産や本人を受取人とした保険金も算入します。
 
②の贈与とは、次に該当するものです(評価額は相続開始時が基準となります)。本人が贈与した財産(②)を加える理由は、本人が生前に全財産を贈与してしまった場合には、遺留分がなくなってしまう事を回避する為です。

  • 生前贈与は相続開始前の1年間にしたもの。
     ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行ったものは1年以上前のものでも算入されます。
  • 共同相続人が婚姻・養子縁組のため、もしくは生計の資本としてもらったもの(特別受益に相当するもの。持戻しの免除があった贈与でも算入されます)
  • 不相当な対価をもってした有償行為で、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行ったもの(正当な価額との差額を算入する) もの

遺留分減殺請求 [#qb9ea4ee]
 遺留分が侵害されていることがわかれば、遺留分権利者は自己の遺留分を主張し、遺留分の限度で財産を取り戻すことができます。この取り戻す意思表示をすることを「遺留分減殺請求」といい、相手方に請求する権利を「遺留分減殺請求権」といいます。
 この意思表示は、遺留分を侵害している相手方に対して、一方的に意思表示することにより、遺留分の範囲で相続財産が戻ってきます。
この意思表示は、法的には口頭でも足りるとされていますが、証拠を残すためにも通常は内容証明郵便(配達証明付)にて行います。
 遺留分減殺請求書の記載方法には決まった書式がありませんが、記載する一般的な事項は次のとおりです。
 

  • 遺留分減殺請求権をする本人と相手方(必須)
  • 遺留分を侵害するので、減殺する旨および請求の日(必須)
  • 遺留分の割合
  • 減殺の対象となる遺贈・贈与の特定 (どの生前贈与が遺留分を侵害するか等)  遺留分減殺請求権を行使されると、遺留分を侵害している相手方(受遺者や相続人)は、減殺の対象となった財産を返却しなければなりません。なお、財産の返却については、その価額を弁償して支払うことも可能です。

消滅時効

 遺留分権利者は、次の期間を経過してしまうと遺留分減殺請求権を行使できなくなります。

(1)相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間(民法1042条前段)。

(2)相続の開始の時から10年(同法1042条後段)。 

遺留分減殺の順番

遺留分の侵害があった際の、減殺の順序は次のとおりです。

(1)遺贈
(2)贈与(贈与については、新しいものから古いものの順に減殺)となります。

 つまり、遺留分減殺請求権を行使して本人が行った遺贈を取り消しても、まだ遺留分が侵害されている場合に初めて贈与が取り消せます。いきなり、贈与を取り消すことは出来ません。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional